○西伊豆町若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業実施要綱

令和5年2月17日

要綱第3号

西伊豆町若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業実施要綱(令和2年西伊豆町要綱第15号)の全部を改正する。

(目的)

第1条 この要綱は、将来子どもを産み育てることを望む若年がん患者に対し、妊孕性温存治療及び温存後生殖補助医療に要する経費を助成することにより、若年がん患者の経済的負担の軽減を図ることを目的とし、予算の範囲内において助成金を支給するものとする。

(定義)

第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号の定めるところによる。

(1) 妊孕性温存治療 生殖機能が低下する又は失う可能性のあるがん治療等に関して精子、卵子又は卵巣組織を採取し凍結保存するまでの一連の医療行為又は卵子を採取し受精させ、胚(受精卵)を凍結保存するまでの一連の医療行為をいう。

(2) 温存後生殖補助医療 前号で凍結した検体を用いた生殖補助医療、又は前号を受けた者が受ける生殖補助医療をいう。

(3) ガイドライン 「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン」(一般社団法人日本癌治療学会編)をいう。

(4) 保険適用外 医療を受けるに当たり、医療保険各法の規定による医療に関する給付を受けることができず、その経費が全額自己負担となる場合をいう。

(5) 妊孕性温存治療開始日 精子、卵子又は卵巣組織の採取のために治療を開始した日をいう。

(6) 凍結保存時 精子、卵子、胚(受精卵)又は卵巣組織を凍結保存した日をいう。

(7) AYA世代 思春期・若年成人のことで、15歳から39歳をいう。

(妊孕性温存治療に係る助成対象者)

第3条 妊孕性温存治療の助成対象となる者は、次の各号に掲げる要件を全て満たし、かつ、第2項又は第3項に掲げる要件を全て満たす者とする。

(1) 申請時において西伊豆町に住所を有する者

(2) 妊孕性温存治療の凍結保存時に43歳未満の者

(3) この事業の助成対象となる経費について、「不妊に悩む方への特定治療支援事業(平成21年3月5日付け20文科初第1279号、雇児発第0305005号内閣府子ども・子育て本部統括官、文部科学省初等中等教育局長、厚生労働省子ども家庭局長通知)(以下「不妊に悩む方への特定治療支援事業」という。)に基づく補助を受けていない者

(4) 県が指定する医療機関の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、妊孕性温存治療に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる者。ただし、子宮摘出が必要な場合など、本人が妊娠できないことが想定される場合は除く。また、妊孕性を低下させるおそれのある原疾患治療前を基本としているが、治療中及び治療後であっても医学的な必要性がある場合には対象とする。

(6) 町税等を滞納していない者

(7) 従前にこの要綱に基づく支給又は他の地方公共団体が実施する類似の支給を受けていないこと。

2 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業による県補助を受けている場合

(1) 以下のいずれかに該当する原疾患の治療を受けている者

 ガイドラインの妊孕性低下リスク分類に示された治療のうち、高・中間・低リスクの治療

 長期間の治療によって卵巣予備能の低下が想定されるがん疾患:乳がん(ホルモン療法)

 造血幹細胞移植が実施される非がん疾患:再生不良性貧血、遺伝性骨髄不全症候群(ファンコニ貧血等)、原発性免疫不全症候群、先天代謝異常症、サラセミア、鎌状赤血球症、慢性活動性EBウイルス感染症等

 アルキル化剤が投与される非がん疾患:全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、多発性筋炎・皮膚筋炎、ベーチェット病等

(2) 別表第1(1)に示す医療機関において妊孕性温存治療を受けた者

(3) 妊孕性温存治療の研究への臨床情報等の提供をすることに同意する者。ただし、助成の対象者が未成年者である場合は、できる限り本人も説明を受けた上で、親権者又は未成年後見人が同意した場合とする。

3 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業による県補助を受けていない場合

(1) ガイドラインに基づき、がん治療等により生殖機能が低下する又は失うおそれがあると医師に診断された者

(2) 別表第1(2)に示す医療機関において妊孕性温存治療を受けた者

(温存後生殖補助医療に係る助成対象者)

第4条 温存後生殖補助医療の助成対象者については、以下の条件を全て満たす者とする。

(1) 申請時において西伊豆町内に住所を有する者

(2) 婚姻関係の確認がなされた者(婚姻関係の確認は、第7条第2項第4号で定める)

(3) 温存後生殖補助医療の治療初日における妻の年齢が43歳未満である者

(4) 夫婦のいずれかが妊孕性温存治療を受けた場合であって、温存後生殖補助医療以外の治療法によっては妊娠の見込みがない又は極めて少ないと医師に診断された者

(5) 県が指定する医療機関の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、温存後生殖補助医療に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる者

(6) この事業の助成対象となる経費について、不妊に悩む方への特定治療支援事業に基づく助成を受けていない者

(8) 町税等を滞納していない者

(9) 従前にこの要綱に基づく支給又は他の地方公共団体が実施する類似の支給を受けていないこと。

(助成対象経費)

第5条 助成対象経費は、精子、卵子、卵巣組織の採取及び凍結、胚(受精卵)の凍結並びに温存後生殖補助医療に要する経費とし、治療に要する経費(初回の保存に要する経費を含む。)及び当該経費が保険適用外となる場合に限るものとする。

2 前項で定める助成対象経費には、入院費、入院時の食事代等治療に直接関係のない経費及び凍結保存の維持(2回目以降)に係る経費を含まないものとする。

3 第1項で定める治療に要する経費には、患者の状態により医師の判断で妊孕性温存治療を中止した場合、それまでに要した経費を含めることができるものとする。ただし、体調不良等により採卵を行わず治療を中止した場合は助成の対象外とする。

(助成金額及び回数)

第6条 助成の金額については、別表第2のとおりとする。

2 妊孕性温存治療助成の回数は、対象者1人につき通算2回を限度とする。

3 温存後生殖補助医療助成の回数は、初めて温存後生殖補助医療の助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満である場合、通算6回、40歳以上であるときは通算3回までとする。ただし、助成を受けた後、出産した場合は、住民票と戸籍謄本等で出生に至った事実を確認した上で、これまで受けた助成回数をリセットすることとする。また、妊娠12週以降に死産に至った場合は、死産届の写し等により確認した上で、これまで受けた助成回数をリセットすることとする。

(助成金の申請)

第7条 第3条に定める対象者で助成を受けようとする者(対象者が未成年である場合はその親権者又は未成年後見人。)(以下「申請者」という。)は、妊孕性温存治療終了後、妊孕性温存治療費助成事業交付申請書(妊孕性温存治療分)(様式第1号)に、次の書類を添え、町長に申請しなければならない。

(1) 若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業交付申請に関する証明書(妊孕性温存治療実施医療機関)(様式第2号)

(2) 若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業交付申請に関する証明書(原疾患治療実施医療機関)(様式第3号)

(3) 住民票(発行から3箇月以内であり、個人番号(マイナンバー)の記載のないもの。対象者が未成年である場合は、対象者のものに加え、申請者本人のもので申請者が法定代理人であること(続柄)が分かるもの。ただし、町で確認が可能な場合は省略できるものとする。)

(4) 助成金の振込を希望する金融機関の通帳等の写し

(5) その他町長が必要と認める書類

2 第4条に定める対象者で助成を受けようとする者(対象者が未成年である場合はその親権者又は未成年後見人。)(以下「申請者」という。)は、妊孕性温存治療終了後、妊孕性温存治療費助成事業交付申請書(温存後生殖助成医療分)(様式第4号)に、次の書類を添え、町長に申請しなければならない。

(1) 若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業交付申請に関する証明書(温存後生殖助成医療実施医療機関)(様式第5号)

(2) 住民票(発行から3箇月以内であり、個人番号(マイナンバー)の記載のないもの。対象者が未成年である場合は、対象者のものに加え、申請者本人のもので申請者が法定代理人であること(続柄)が分かるもの。ただし、町で確認が可能な場合は省略できるものとする。)

(3) 助成金の振込を希望する金融機関の通帳等の写し

(4) 婚姻関係の確認

 法律婚の場合 戸籍謄本の提出

 事実婚の場合 以下の書類の提出を求め、確認することとする。

(ア) 両人の戸籍謄本

(イ) 両人の住民票

(ウ) 両人の事実婚(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある場合をいう。)関係に関する申立書(様式第6号)

(5) その他町長が必要と認める書類

3 第1項又は前項の申請期限については、妊孕性温存治療費に係る経費の支払日の属する年度内までとする。ただし、妊孕性温存治療実施後、期間を置かずに原疾患治療を開始する必要があるなどのやむを得ない事情により、当該年度内に申請が困難であった場合には、翌年度に申請することができる。

4 助成対象年度の判定は、申請が行われた日を基準にするものとする。

(助成金の支払い及び支給)

第8条 町長は、前条の申請があったときは、その内容について審査の上、助成金額を決定し、妊孕性温存治療費助成事業交付決定通知書(様式第7号)により申請者に通知するとともに、助成金を申請者の指定する口座に振り込むものとする。

2 前項の審査の結果、申請内容が適正と認められないときは、その理由を付した妊孕性温存治療費助成事業交付不承認通知書(様式第8号)を速やかに申請者に通知するものとする。

(県への意見聴取)

第9条 町長は、本事業利用の決定に当たり、必要と認める場合には、県の意見を求めることができる。

(助成金の返還)

第10条 町長は、虚偽の申請その他不正な手段により助成金の支給を受けた者に対し、その全部又は一部を返還させることができる。

(個人情報の取扱い等)

第11条 本事業の実施に当たって、知り得た個人情報の取扱いに充分留意するとともに、申請者及びその家族の心情に充分配慮した対応を取るものとする。

(その他)

第12条 この要綱に定めるもののほか必要な事項は、町長が別に定める。

この要綱は、公布の日から施行し、改正後の西伊豆町若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業実施要綱の規定は、令和4年4月1日以後に実施した妊孕性温存治療及び温存後生殖補助医療について適用する。

別表第1(第3条関係)

区分

妊孕性温存治療の内容

医療機関

(1)小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業による県補助を受けている場合

(受精卵)凍結保存、未受精卵子凍結保存

静岡県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業実施要領第1(2)又は(3)の規定により指定される医療機関

(2)小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業による県補助を受けていない場合

精子凍結保存

精巣内精子採取術による精子凍結保存

がん治療の担当医師又は温存治療の担当医師から紹介を受けた医療機関

(受精卵)、未受精卵子又は卵巣組織凍結保存

静岡県特定不妊治療費助成事業実施要領(平成16年4月1日子家第170号静岡県健康福祉部長通知)第1(2)又は(4)の規定により指定され、公益社団法人日本産科婦人科学会の「医学的適応による未受精卵子、胚(受精卵)及び卵巣組織の凍結・保存に関する見解(平成31年4月改定)」に準じて妊孕性温存治療を行う医療機関

別表第2(第6条関係)

区分

治療の内容

補助上限金額

(1)小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業による県補助を受けている場合の妊孕性温存治療

(受精卵)凍結保存

5万円

未受精卵子凍結保存

20万円

(2)小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法支援事業による県補助を受けていない場合の妊孕性温存治療

精子凍結保存

2万5千円

精巣内精子採取術による精子凍結保存

35万円

(受精卵)、未受精卵子又は卵巣組織凍結保存(組織の再移植を含む)

40万円

(3)温存後生殖補助医療

凍結した胚(受精卵)を用いた生殖補助医療

10万円

凍結した未受精卵子を用いた生殖補助医療

25万円

※1

凍結した卵巣組織再移植後の生殖補助医療

30万円

※1~4

凍結した精子を用いた生殖補助医療

30万円

※1~4

※1 以前に凍結した胚を解凍した胚移植を実施する場合の補助上限金額は10万円

※2 人工授精を実施する場合の補助上限金額は1万円

※3 採卵したが卵が得られない、又は状態の良い卵が得られないため中止した場合の補助上限金額は10万円

※4 卵胞が発達しない、又は排卵終了のため中止した場合及び排卵準備中、体調不良等により治療中止した場合は対象外

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西伊豆町若年がん患者妊孕性温存治療費助成事業実施要綱

令和5年2月17日 要綱第3号

(令和5年2月17日施行)